山岳部の連中は、案外とよく道に迷う。昔のことで、GPS使うのが一般化したいまのことは知らない。笑い話のようではあるが、反省会とか行くとアプローチで道まちがえたとか、下山の道に迷ったとか、割とよく聞いた。自分自身でも、しょっちゅう道を踏みまちがえてた。理由は簡単で、山岳部の連中は基本的には地形を読む。地形を見て、地図を確認し、自分の現在位置を把握して、方向を決める。だから、登山道のないバリエーションルートであるとか、あるいは登山道が雪に閉ざされてしまう冬山とか、そういうところでも安全に行動できる。ルートの選択は「あっちの斜面は雪崩れそうだ」とか「あそこの尾根に取り付いたら上部の処理がヤバいな」とか、そういった判断で行われるのであって、そっちに登山道があるかどうかとか、そういったことからはほぼ独立している。その判断をまちがえたら命にかかわるから、等高線の読み方みたいなことは徹底的に叩き込まれる