【コラム】ノキア没落の教訓 携帯電話世界最大手のフィンランド企業、ノキアの没落は、業界標準競争に負けた悲惨な姿をありありと見せつけた。 ノキアは過去20年にわたり、革新的企業の象徴的存在だった。1991年に世界で初めて欧州式(GSM)デジタル移動通信を商用化して以来、40%を超える世界シェアを誇り、携帯電話業界の模範生としてたたえられた。ノキアはまた、利益を上げることに汲々(きゅうきゅう)とせず、人類愛の経営哲学と最高の製品を最も安く生産する技術を基に、5ドル以下の超低価格携帯電話を生産し、インド、アフリカの奥地に住む人々にも通信文明を伝えた。 技術面でもノキアに匹敵する企業はなかった。およそ4万2000件に及ぶ独自技術の大半を無料で公開し、世界の携帯電話市場のすそ野を広げた。技術に対するロイヤルティーに固執する米クアルコムとの対比で、「共生」の世界的な手本とされた。スマートフォンもノキア