[Part1] 役割分担、明確な英国 政官が融合するフランス 「英国の官僚は、控えめだがしっかりしていて、重要な決定は主人に任せる執事のような存在だ」 ロンドン中心部、テムズ川河畔にあるウエストミンスター宮殿。英国議会の議事堂として使われている。 上智大准教授の中野晃一は、そうたとえる。英国の特徴の一つは、政治家と官僚の役割分担が明確なことだ。どの政党が政権をとっても同じように仕えるのが、英国官僚の「中立性」。大臣・副大臣・政務次官以外の国会議員に官僚が接触することは厳しく制限されている。 官僚たちに求められるのは、専門的な立場から政策の選択肢を用意するところまで。 一方、「執事」の人事に大臣らは直接、介入しない建前だ。各省の事務次官や局長ら上級公務員(Senior Civil Service)は公募され、独立した幹部任用委員会の審査に基づいて、官僚トップの公務長が実質的に決定し