NHKスペシャルによる永田稠と満州移住 木村 快 二〇〇六年八月十一日に放映されたNHKスペシャル『満蒙開拓団はこうして送られた―眠っていた関東軍将校の資料―』の概要は次のようなものである。なお、文中の「満州」「匪賊」といった用語は現在では使われないが、資料をもとにしたものなので、当時の呼称をそのまま使用することをお断りしておく。 昭和八年から始まった満州移住は戦前、満蒙開拓(まんもうかいたく)と呼ばれていた。満州(中国東北部)だけでなく、現在のモンゴル自治区をも視野に入れた事業だったからである。移住の始まった昭和七年から二十年までに二七万人の日本人が満州へ移住している。 満州移住計画の中心人物であった東宮鐵夫の生家(群馬県前橋市)で満蒙開拓計画にかかわる詳細な資料が多数発見された。この資料は終戦当時、軍から焼却を命じられたが、遺族はそのまま蔵の中にしまい込んでいたという。 満州移住の発案