どう評価すべきなのか、迷うデータが発表された。一見すると、農業の先行きに光が差したように見える。農業所得が2年続けて増えたのだ。だが、要因を考えると、楽観すべきなのかどうか、にわかには判断がつかない。もしかしたら、農業危機が本当に現実になったことを映しているかもしれないからだ。今回は、最近公表された数値をもとに農業の実情を考えてみたい。 「いつか、思い知らせてやりたい」 データの紹介に入る前に、10年近く前にある農家に言われた言葉に触れておこう。面積が100ヘクタールに達する大規模農家の一言だ。 「おれたちには食べるものがある。でも、それを売るのをやめたら、どうなるか。そのことを、いつか、思い知らせてやりたい」 売るのをやめたら、自分の首を絞めるだけではないか。国内で不足すれば、輸入すればいい。そういった反論は百も承知の言葉だろう。彼が言いたかったのは、必ずしも楽ではない農作業を必死にこな
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