「経済の見方」がガラリと変わる MMT(現代貨幣理論)が問いかけるのは「単純な経済政策論」ではない。MMTは経済に対する見方や価値観の大胆な転換を求める経済理論だ。 −−たとえば、税金とは何のためにあるのか。 従来からの常識は「税金=予算の財源」である。しかし、MMTは税金を財源確保のためとは捉えない。そのことを理解するには経済の仕組みを改めて理解し直す必要があるという。 ケルトンは講演の冒頭、ある物語を語り始めた。経済学者のウォーレン・モスラーから聞いた話で、彼女はそれ以来お金に関して従来とは「異なる概念」を持つようになったという。 「ウォーレンには2人の子供がいました。そして彼らに対して『家事を手伝いなさい。手伝ったら、報酬として私の名刺をあげよう』と言いました。例えば皿洗いをしたら3枚、芝刈りをしたら20枚、といった具合に内容に応じて名刺を渡します。 しかし、数週間経っても子供たちは