ザ・ロード [著]コーマック・マッカーシー[掲載]2008年6月29日[評者]鴻巣友季子(翻訳家)■世界は終わり、荒涼とした道を淡々と 荒涼、沈黙、神なき世界。父と息子は冬にそなえて南へと向かう。空には雲がたれこめ、寒さが募る。荒れた庭で死んだライラックの枝がもつれあい、去っていった息子の母は夢に現れるのみ。家のポーチには何年も前に死んだ男が座り、人食の〈野蛮人〉が襲いくる。生き残ったわずかな人々は限りある資源をめぐって殺しあう。 ピンチョン、デリーロらと並ぶ大作家マッカーシーの最新作は、なにかカタストロフィが起きた後の終末世界の物語である。具体的な経緯はいっさい説明されない。大惨事後に生まれた少年は、野生のキノコをごちそうとして食べ、不満も漏らさないが、世界の深い絶望をおそらく本能的に分かっているのだ。そんな息子を守るために、父は一刻一刻を生き延びようとする。「火を運ぶ者」として。 19
某月某日。コーマック・マッカーシー? コーエン兄弟の映画『ノーカントリー』の原作者? ああ、あの映画なら観たよ、観ましたよ。すごかったねえ。麻薬組織の大金をネコババした男が、建築家の安×××氏みたいな風貌のスーパークール、スーパーグレートな殺し屋に追っかけられる。すんごい緊迫感なのね。で何かこう神話的なのね。 原作は『血と暴力の国』っていうんだ? まあ映画観たからべつに読まなくても……え? 映画はかなり原作に忠実だけど、省かれた部分もあって、たとえば主人公が行きずりの女の子と道中をともにするところなんか最高? ふうん。じゃ、読んでみるかな。 ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン発売日: 2008/08/08メディア: DVD購入: 3人 クリック: 80回この商品を含むブログ (276件)
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