茨城県つくば市にある国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、その名の通り、森林に関する研究所だが、なぜか鳥獣生態研究室という部署がある。それどころか、立派な鳥の標本収蔵庫まで備えている。国立科学博物館や山階鳥類研究所など、標本を多く持っていてしかるべき機関には及ばないものの、それでも国内では五指に入る規模だというから驚かされる。 ベストセラーになった『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』の著者で、この収蔵庫の「主」でもある川上和人主任研究員に案内してもらった。 きっかけは、川上さんが「すごい」と思う鳥についての話題だ。川上さんは、前出の書籍でも「鳥が特別に好きなわけじゃない」と公言している。にもかかわらず、鳥の研究の話を始めると、最初は飄々とした語り口の中にやがて熱がこもり、高温の青い炎を周囲に撒き散らすがごとき様相に至る。 「鳥って、まず、飛ぶってことがすごいなと思い