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大差のついた最終回、仲間たちがみんな立ち上がり、身を乗り出して声をからしている中で、佐々木朗希はひとりベンチ奥に腰を下ろしたままじっとグラウンドを見つめていた。胸に何が去来していたのか。エースであり、4番打者の彼は甲子園をかけた決勝戦という舞台に立つことのないまま、最後の夏を終えた。 ゲーム直後、すぐに敗れた大船渡ベンチ前で国保陽平監督がメディアに囲まれた。異例の光景である。矢継ぎ早に質問が飛ぶ。 なぜ、佐々木を投げさせなかったのか。 「故障を防ぐためです。連投で、暑いこともあって。投げたら壊れる、投げても壊れないというのは未来なので知ることはできないんですけど、勝てば甲子園という素晴らしい舞台が待っているのはわかっていたんですけど、決勝という重圧のかかる場面で、3年間の中で一番壊れる可能性が高いのかなと思いました。投げなさいと言ったら投げたと思うのですが、私には決断できませんでした」 前
第101回全国高校野球選手権岩手大会の決勝が25日、岩手県営野球場で行われ、大船渡が2―12で花巻東に敗戦。「令和の怪物」こと佐々木朗希投手(3年)は投手としても野手としても出場することのないまま、最後の夏が終わった。夢の甲子園へ王手をかけていながら「投げられる状態」(国保陽平監督=32)でもあった佐々木は、なぜ出場しなかったのか。舞台裏ではこの日の監督の采配をめぐり、異常事態が起こっていた。 大船渡は今大会初登板の先発・柴田(3年)が序盤からつかまり、6回までに9失点。7回からは2番手・前川(2年)が後を継ぐも、制球難からさらに失点を重ねた。打線は初回に3連打で1点を挙げ9回にも意地の1点を返したが、失策も目立ち、強豪相手に本来の力を発揮できないまま大敗を喫した。 試合に出場することなく高校最後の夏を終えた佐々木は「目標に向かって頑張ることの大切さ、それを続けることの大事さ。自分一人じゃ
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