ことし(2021年)3月に第40回土門拳賞を受賞された、大竹英洋氏の写真集『ノースウッズ 生命を与える大地』(CREVIS、2020年)のことを知り、同書を入手した。 北米大陸の北緯45度から60度、アメリカとカナダにまたがるノースウッズ地帯。“湖水地方”とも称されるほど湖が多いという。針葉樹の森と湖の織りなす静謐で峻峭な風景と、そこに生きるムースやアメリカクロクマ、オオカミなどの動物や、ハシグロアビやハクトウワシなどの鳥たち。写真集『ノースウッズ』に収録された写真はどれも、「この瞬間でなければならない」という決定的瞬間を、「この構図でなければならない」という完全な構図の中に収めた作品に感じられ、素晴らしいの一言である。撮影されたその瞬間の時間と空間ばかりか、過去から未来へと連なる悠久の時間、地球の歴史すら感じさせてくれる。 でも、今日はこの写真集でなく、大竹氏の自伝的紀行ノンフィクション