1989年に韓国で出版された「北の人々」は、韓国写真史の大きな転機となった。写真芸術と言えば、海からの日が昇る写真のような風景やヌードを連想していた時代、「ドキュメンタリー写真」という新たなジャンルを開拓する契機となった写真集だ。写真専門出版社「ヌンビッ」(眼光の意)の最初の作品でもある。 きれいなだけの風景写真より、写真が持つ最も大きな力、すなわち「記録性」に忠実にこだわったヌンビッ出版社の進路を決めた写真集でもある。フランスの映画監督であり写真作家でもあるクリス・マルケルが、朝鮮戦争が休戦したばかりの1950年代に北朝鮮を訪れて撮影した約140点のモノクロ写真は、韓国写真界に大きな波紋を起こした。当時の北朝鮮は、国土再建を通じてようやく戦争の傷跡から立ち上がろうとしていた時期で、青い目の西洋人が「私たちが最初に会った朝鮮の女性は、空から降りてきた」と敬意を抱いて「北の人々」をレンズに収
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