イタイイタイ病の原因物質・カドミウムに汚染された田が復元されるまで、富山市の神通川流域では多くの農家が人の口には入らないコメを作り続けた。同市の兼業農家、吉田清さん(80)も心が折れそうになりながら、「もう一度おいしいコメを作る」という信念で、田を守り続けた。汚染された土壌の復元事業は17日、33年をかけてようやく終わった。今は、東京電力福島第1原発事故で被災した農家を気遣い、励ます。 復元事業開始当時、玄米中のカドミウム濃度が1ppm(ppmは100万分の1)を超えるコメが収穫された田は作付けが禁じられ、0・4~1ppm未満の田は「準汚染米」として国が買い取って、工業用のりに使われた。 吉田さんが所有する約1・8ヘクタールは汚染田に指定された。復元工事が着手された93年まで、米袋に黄色い札をつける「準汚染米」を作り続けた。「何のために作っているのか」。心を支えたのは、先祖代々続く農家とし