もうだいぶ昔の話だけれども、俺がまだハタチになったばかりのころ調子にのってお高いバーをあちこちめぐるようになった。 きちっとスーツを着こむ。ホストっぽくならない程度に。でもちょっとだけブランドものをいれたりする。そしてなにより時間が重要だ。デパート勤めのお姉さんたちが仕事を終えてバーに顔を出すのがだいたい夜10時ごろ。ころ合いだ。 お姉さんたちよりも年上のフリをするつもりはなく、いかにもハタチちょいですって顔をしながら横空いてますかって言う。相手がおっさんじゃないと見ると、結構気を許して相手してくれる。 その日もいつものように新しいバーを開拓していると、ものすごい美女がいた。ロシアや北欧のほうの血が入ってそうなハーフ、それともクォーターかな? ドレスとかそんな気取った格好じゃなくて仕立てのよさそうなブラウスにリーバイス、靴はたぶんJ.M.ウェストンのローファー、腰まで伸びた金髪がバーの暗が
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