前回は経済成長の重要性について論じた。結論は「とにかく経済成長は重要です」というものだった。 この経済成長が財政再建との関係でしばしば取り上げられるようになっている。日本の消費税の引き上げをめぐっては「消費税を引き上げると景気にマイナス(つまり成長にマイナス)ではないか」「実質2%、名目3%成長を前提にすべきだ」といった議論があるし、欧州の債務危機に際しては、フランス、ギリシャで「財政再建よりも成長重視で」という主張が支持されるようになっている。 これまで主張してきたように、「経済成長が何より重要」ということであれば、「消費税を急ぐよりもまずは成長を」「欧州でも財政再建よりは成長重視を」という主張に賛同するのが自然に思われるかもしれないが、話はそうは簡単ではない。 財政再建と経済成長をめぐっては、余りにも多くの論点があり、議論が錯綜しているのでやや分かりにくくなったり、世間の人々が誤解した