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ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (8)

  • とある友人の悲惨な離婚- Everything You’ve Ever Dreamed

    友人離婚した。先生、小説にしてくれ、名前を出してもいい、書籍化のさいに金をくれればいい、と人から言われているが、離婚というデリケートな話であるし、節度っつうの?このような話題で、人を特定するような行為は暴挙であって、いくら僕がロックンロールだとしても、ためらってしまう。数少ない友人は大切にしたい。売りたくない。これが匿名の理由だ。 で、もう堪えられない、離婚だ、つって離婚する友人アライ(id:tell-a-lie)と新宿で飲むことになり(名前出してしまった!)、午後六時、アルタ前に現れた彼の姿を見て僕は驚いた。眼鏡マスク、全身黒、伸びた髪、左右非対称の眉、うつろな目、口元からは「金…金…」。端正な青年が変態カネゴンに…。「金、当にないんだけどいいの?」「今日はおごるよアライ君」つうわけで居酒屋。 とりあえず生ビール。「マジで離婚したの?」「マジですよ課長」。へぇネタじゃないのね。

    とある友人の悲惨な離婚- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 豚肉は川になる - Everything You’ve Ever Dreamed

    「赤ちゃんが二十歳になるまで生きて成人式を見られたらその場で死んでもいいなあ〜」。郊外の豚しゃぶ店で、ひとあし早く事を終えた母が言った。八月の終わりに弟には子供が産まれる。三番目のタフガキ。弟は「ぜんぜん余裕だろー縁起でもねーなー。それに成人式で死んだら迷惑だろー。俺引き取りにいくのやだわー静かに布団で死んでくれー」と笑い、母も「バーカ。覚悟よカ・ク・ゴ。それくらいの覚悟で二十年生きるつってるの。まあ先のことはわからんから、今夜は肉をべといたー」なんて笑ってる。六十三歳の母が八十三歳のクソババアになって成人ベイビーを祝うのはそう難しいことじゃないと僕は思っている。弟も。おそらく人も。僕は、二人の話を笑いながら別の人間の死について考えていた。 六十を超えた母親が病や怪我で倒れる可能性はありうる話で、僕は心のどこかで準備ができている。準備ができる。僕が思いを巡らせているのは僕自身の死につ

    豚肉は川になる - Everything You’ve Ever Dreamed
  • ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed

    家族でも恋人でも友人でもいいのだけれど、そういう大事な人を喪ったときの正しい感情ってなんだろう、なんて答えがないことを父の死を契機に僕は十代の終わりの一時期かなり真剣に考えていた。父が死んだとき僕が真っ先に思ったのは、悲しみでも、将来や生活への不安でもなくて、人間なんて簡単に死んでしまうんだな、エロの隠し場所には気を付けなきゃいけないな、というどうでもいいことだったりする。多感な18才だったので悲しかったのは間違いないのだけれど、前年の夏に祖母を亡くした直後ということもあって命が消えてしまう呆気なさに僕はただ愕然としていたのだ。 愕然としたあと僕はムカついた。というのも淡々と葬儀屋と打ち合わせをこなし、葬儀を執り行う母をみて親戚のオッサンどもが「少し休んだらどうだ」とか「泣いたっていいんだぞ」とか「これからの生活はどうするんだ」なんていちいち声を掛けてきたからだ。母のやりたいようにやらせ

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    permas
    permas 2009/05/29
    さんタグつくりました
  • RCサクセションが流れてた。- Everything You’ve Ever Dreamed

    熱心なリスナーでも熱狂的なファンでもなかった。事実、ライブ盤を一枚だけ持っているほかは、友達やレンタル店から借りてきてハイポジテープに吹き込んだものばかりだった。でも、あの瞬間に流れていたRCサクセションのロックが、ある人との出会いを与えてくれた。忌野清志郎の歌声が僕に与えてくれたんだ。そうだ。あのときあのロックンロールが繋げてくれたロックンロールに僕は、勇気を、もらった。 大学生の僕は歌詞もわからない洋楽ばかり聴いていた。高校のとき僕の母校で布教されていた「洋楽を聴く男=カッコいい男=女の子にモテる男」という間違った教義を敬虔な信者のように信じていたからだ。その教義を広めていた伝道師ボンクラ達(ウンコ数学部員一同)は高校はおろか大学に入っても誰一人としてガールフレンドがいないのに気付かなかったのが今でも悔やまれる。アルバムに挟まっている、アクセル・ローズを真似てバンダナを目深に巻き笑って

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    permas
    permas 2009/05/08
    このようなお話にはめっぽう弱いです
  • 飛ぶ犬 - Everything You’ve Ever Dreamed

    ぐいぐいと首を締め付けられているような感覚に陥る瞬間がある。そういった瞬間に入るときは一日を無駄に過ごしてしまったときだ。浪費ってやつ。そんな日の夕方は、シャツの襟に走ったヒンヤリとした汗のラインが、絞首刑、或いはスーパースロウなギロチンみたいに思えてくる。ルーチン化した生活が僕をそう思わせる。だから僕は宣告する。さようなら。さようなら。人生をつまらなくするルーチン化クソども。ライフハックとか恋愛マニュアルとかマジクソ。 いろいろなクソに別れを告げて、僕は奇跡と出会うべきだ。もっともっと。そうだ僕は奇跡を信じている。モーゼの、海を割るような壮大な奇跡ではなく、日常をほんの少し明るくするような光を抱いた奇跡を。出来ればその奇跡が身近でぎりぎり手の届かないところに存在して見守っていて欲しい。たとえば、帰りの夜道の上を突っ走る電線のうえとか、コンビニの冷蔵ショーケース、ビールの陳列の後ろ側とか、

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    permas
    permas 2009/04/30
  • ジ・エンド・イズ・ザ・ビギニング・イズ・ジ・エンド- Everything You’ve Ever Dreamed

    「届かない思いや、報われない気持ちはどこへ行ってしまうのでしょうか」。僕の斜め前で青椒肉絲のピーマンを、解剖でもするような手付きで皿の縁へ避けていた総務のマヤちゃんが前触れもなくそう言うので僕は心を乱してしまう。言葉の末尾に半透明の疑問符のような曖昧さがあり、質問なのか独り言なのか、答えを求めているのかいないのか判断できなかったからだ。そして僕はなぜか遠く暗い宇宙を泳ぐ鯨のことを考え始めていた。 バカな宇宙人に手違いで拉致され、宇宙人A「キャトルミューティレーション!」宇宙人B「うわっキモ!地球人のアニメみたいな掛け声やめろよ〜」なんてコントの末にどこかの牛の身代わりにチンポコをくり抜かれ宇宙に遺棄された鯨。星の海を、行く先のない航海を、泳ぐ鯨。僕も宇宙鯨と同様に目的地を見つけられずにいる。 沈黙はいつも僕の背中を押す。なにか言わなければいけない気がしてくる。軽口で少女に陰毛の生えた程度の

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  • 13日の金曜日のガールたちへ - Everything You’ve Ever Dreamed

    13日の金曜日を明日に控え、うだつのあがらないサラリーマンで賑わう夕方のドトール、禁煙席に座った僕は、13の呪いだか不幸だかを一身に背負っていると感じていた。そう感じ始めたのは些細な出来事がきっかけだ。今朝のことだ。僕がバス停の前に差し掛かると女子高生の一団が、獲物を見付けた猛禽のように全身の筋肉をびくっと動かし、群れとして一斉に携帯をいじり始めた。僕は三十年を越える経験から、彼女たちが僕と接触したがっていると直感する。愛は歳の差を超える。少女に天空の城での同棲を迫ったムスカ様のように。 「今時の女の子は赤外線で連絡先を伝えるのよ」。いきつけの店の指名ナンバー6キャバ嬢マイ(アゴ勇似)の話を思い出し、僕は携帯の赤外線受信機能を甦らせ、ふたたび何気なく女子高生の前を横切った。携帯を確認。メールアドレス、番号、あるはずの情報は何ひとつなかった。おかしい、なぜだ。悲劇だ。純情を弄ばれた。それとも

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    permas
    permas 2009/02/14
    発想が天才すぎです。抱かれたい。
  • 『ドナドナドーナドーナンダ』完全版vol.1 - Everything You’ve Ever Dreamed

    ハイクで書いていたヘナチョコSF独り言小説を全面的に改訂してまとめてみました。構想ゼロ・知性ナシです。 ↓ ↓ ↓ ↓ ○「ただいま」。人間ならきっとこういうふうに言うんだろうな。それにしても随分と待たせちゃったな。僕を育ててくれた人たち元気かな?いくつもの街を越えた虹色の蒸気パレード。花火の下で大きなビア樽が何個も転がっていたパーティー。懐かしいなあ。まだちょっと時間が掛かりそうだ。でも一人ぼっちにも飽きちゃった。ちょっと手を伸ばして覗いてみよう。 ■正午過ぎに俺がニトリで買ったベッドの上で目を覚ますと腹のうえにちょこっと乗った小さな黒ひげ人形が俺に「殺せ殺せ殺せ」と叫んでいた。俺は持ちうるかぎりの慈悲をもってそいつの首を右手、胴体を左手で持ち、俺が愛してやまない「ビッグマウス」を開栓する要領でそいつを捻じ切り、セブンイレブンの袋で作ったゴミ箱にぶちこむ。それから俺は携帯をいじって、俺の

    『ドナドナドーナドーナンダ』完全版vol.1 - Everything You’ve Ever Dreamed
    permas
    permas 2008/10/27
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