「広島サミット」なのに、どこか遠い国のことのように思えた。厳粛な祈りの場であると同時に市民の憩いの場でもある広島市の平和記念公園は白いシートを張った高さ2メートルほどのフェンスで囲まれ、関係者以外は閉め出された。公園内にあるガラス張りの原爆資料館も目隠しのフィルムで覆われていた。 5月19~21日に開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席するため、各国首脳が初めて被爆地に集った。私は開幕前から地元の動きを取材してきた。 原爆資料館を訪れた首脳らは何を見て、どんな感想を抱いたのか。被爆者の話をどんな表情で聞いたのか。どうしても知りたかったが、国の意向で明かされなかった。米国をはじめとする核保有国の世論を考慮したとみられる。