豊洲市場(東京都江東区)への移転をめぐる疑問に正面から答えたとは言えないだろう。 石原慎太郎元東京都知事が日本記者クラブで記者会見した。 会見は石原氏の希望で行われた。石原氏は先月、「逃げているとか、隠れているとかの屈辱を晴らしたい」「言うべきことを言う」と述べ、弁明の機会を求めたのだ。 石原氏としては、豊洲市場をめぐる混迷は石原都政に根ざしているとして攻勢を強める小池百合子知事に反論したかったのだろう。 石原氏は、豊洲市場への移転を決めたことについて「裁可した責任はある」と認めたが、一連の問題は都議会を含めた都庁全体で決めてきたことだと強調した。 こまかな対応を問われると「いちいち報告を受けていない」と繰り返した。これでは責任逃れと受け取られても仕方ない。 経緯を押さえておきたい。 石原氏が知事に就任したのは1999年だ。東京ガスの工場跡地だった豊洲が市場の移転先候補に挙がっており、長く