東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の東京高裁判決の要旨は次の通り。 <津波襲来の可能性の認識> 政府の地震調査研究推進本部が2002年に発表した「長期評価」は三陸沖北部から房総沖までの日本海溝よりの領域で、マグニチュード(M)8クラスの大地震が発生する可能性があるとし、東電はこれに基づき、最大15・7メートルの津波が原発に襲来する可能性があるとの試算を得ていた。 長期評価は専門家の審査を経て、見過ごすことのできない重みを有していた。一方、一般に納得できるよう理由を明確に提示しているとは言い難い。信頼性に異論を唱える専門家もいた。