過酷な事故が起きた際の避難計画が不十分なままで、なし崩し的に原発を再稼働させていいのか。こうした国民の不安に応えたのかに疑問の残る判断である。 福井県の関西電力高浜原発3、4号機について大阪高裁は、運転差し止めを命じた昨年3月の大津地裁の仮処分決定を取り消し、関電の抗告を認める決定を出した。関電は再稼働に向けた準備に入る。 焦点となったのは原子力規制委員会が策定した新規制基準の評価だ。 大阪高裁は、新基準は東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえており、それに適合した関電の対策は安全を確保していると結論付けた。新基準に合格しただけでは安全性は保証されない、と指摘した大津地裁とは対照的な判断である。 事故に備えた住民の避難計画についても、大阪高裁は訓練によって改善が検討され、計画の内容も適切と評価し、2基の再稼働を認めた。 私たちは原発再稼働をすべて否定しているわけではない。 だが、原発事故が