タイ国境付近のまちでは与党・人民党の看板やポスターが並んでいた=カンボジア北西部アンロンベンで4月11日、高木香奈撮影 カンボジアで1970年代後半に起きた旧ポル・ポト政権の大虐殺を裁く特別法廷が昨年9月、起訴された政権幹部ら5人のうち3人に終身刑を言い渡して終結した。内戦終結を経て2006年から始まった特別法廷に対し、日本政府は「カンボジア和平プロセスの総仕上げ」ととらえ、国際社会の中で最大支援国として関わった。しかし、法廷終結後初となる7月の下院総選挙を控え、フン・セン現政権は野党排除の動きを強めている。特別法廷は国民和解や民主化を進める土台づくりではなかったのか。特別法廷終結の後、現地取材をした記者として、もどかしい思いだ。