国会の怠慢が、有権者間の不平等を拡大させたとの警告を、司法が相次いで発した。 今夏の参院選は、選挙区の「1票の格差」が最大3・03倍だった。憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、1審となる高裁の判決が出そろった。 全国16件のうち、違憲と判断されたのが1件、違憲状態が8件となった。合憲は7件である。 最大3・00倍の2019年の前回選挙では、合憲14件、違憲状態2件だった。格差の拡大はわずかだったにもかかわらず、今回は厳しい判断が続いた。 違憲・違憲状態と結論づけた判決が問題視したのは、前回選挙以降、格差是正の措置が何ら取られなかったことだ。与野党の協議会で議論がまとまらなかった。 大阪高裁は、国会の取り組みが「著しく弱まっている」と指摘し、福岡高裁宮崎支部も「大きく後退している」と批判した。 議員1人当たりの有権者数に差を生じさせない「投票価値の平等」を重視するのが、近年の司法の流れで