社会のデジタル化が急速に進んでいる。仕事から遊びまで、インターネットやスマートフォンなしの生活は考えられなくなっている。コミュニケーションやビジネスの可能性を大きく広げ、「第4次産業革命」とも呼ばれる。 だが、民主主義や個人の権利を脅かす問題も表面化している。 まず、権力者によってデジタル技術が監視に使われることだ。 スマホなどの携帯端末からデータを抜き取る装置を日本企業の子会社であるイスラエル企業が開発し、ロシアや香港などで反体制派の抑圧に使われていたという。先月、本紙が報じた。当局は拘束した人物の端末から、通信アプリでのやり取りなどの情報を収集していた可能性がある。 旧東ドイツの秘密警察「シュタージ」(国家保安省)は盗聴や手紙の開封、尾行などによって監視対象者の人間関係の把握に力を注いだという。今や、そんな手間は必要ない。スマホをのぞき見するだけで、その人の暮らしぶりは手に取るように分