そもそも、逮捕して刑事責任を問うようなケースではなかった。 自宅で双子を死産後、遺棄した罪に問われたベトナム人の元技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リンさん(24)に、最高裁が逆転無罪判決を言い渡した。 二重の段ボール箱に収め、テープで封をして自宅に置いていたことについて、2審判決は隠す意図があったと見なしていた。 しかし、レーさんは遺体をタオルで包み、双子の名前や弔いの言葉を書いた手紙を添え、箱を棚の上に置いていた。 最高裁は、こうした状況を踏まえ、「遺棄に当たらない」と結論づけた。当然の判断である。 問題の本質は、妊娠を理由に解雇されることを恐れ、誰にも相談できないまま、孤立出産に追い込まれたことだ。 当時、熊本県の農園で働いていた。インターネット上では、技能実習生が妊娠すれば帰国させられるとの情報が流れていた。 送り出し機関への支払いなどで来日時に約150万円の借金を負っていた。月給の