冤罪(えんざい)からの救済という再審制度の趣旨からすれば、検察の対応は理解しがたい。 袴田巌さんの再審公判で、検察側は有罪を主張し、立証を進める方針を明らかにした。 1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で、80年にいったんは死刑が確定したが、今年3月に再審の開始が決まった。 過去に死刑確定後、再審公判が開かれた4人は、いずれも無罪となっている。袴田さんにも、無罪が言い渡される公算が大きい。 事件から57年がたつ。袴田さんは87歳になった。再審請求人の姉秀子さんも90歳である。 検察側が有罪を主張すれば、弁護側も逐一反論することになる。専門家らの証人尋問を実施する可能性もあり、公判は長期化が避けられない。 再審開始の決め手になったのは、犯人のものとされた衣類に付いていた血痕の色だ。事件の1年2カ月後、みそタンクの中から発見された。 東京高裁は弁護側の鑑定を踏まえ、みそに1年以上漬かれ