国民の不安に正面から向き合おうとしているのだろうか。疑問を抱かざるを得ない。 2024年秋に現行の健康保険証を原則廃止してマイナンバーカードと一体化する政府の計画である。岸田文雄首相は記者会見で、期限の見直しを明言しなかった。 その代わり、マイナ保険証を持っていない全ての人に資格確認書を発行する。有効期限を当初想定していた最長1年から最長5年に延ばすという。 現行の保険証も来秋から1年間の猶予期間があるため、25年秋まではマイナ保険証、資格確認書と三つが並立することになる。 暫定的な措置だったはずの資格確認書が長期間使われることになる。対象者も膨れ上がり、発行する手間と事務コストが増大する。それならば、保険証の期限を延ばせば済む話ではないか。 首相はこれまで「現場の声や意見を大切にし、丁寧に対応を検討していく」と語っていた。だが、自治体や医療機関からは廃止期限の延期を求める声が出ている。