日本の研究力低下に歯止めがかからない。 国際的に影響力のある科学論文数の比較で、日本は10位から12位に後退した。文部科学省の研究所の調査結果である。スペインと韓国に抜かれて、過去最低の順位となった。 要因として、まず挙げられるのが研究人材の先細りだ。 大学院博士課程の入学者は、2003年度をピークに減少傾向にある。学部の学生が増えているのとは対照的だ。 日本の博士号取得者は年約1万5000人だが、米国は約9万2000人、中国が約6万6000人と水をあけられている。 背景には、若手を取り巻く厳しい環境がある。 大学院の学費負担が欧米に比べて重く、アルバイトや借金でやりくりしているケースが多い。博士号を取って研究者を目指そうとしても、任期付きのポストが大半で、将来設計を立てにくい。 実際、国内トップレベルの研究機関、理化学研究所では、任期付き雇用の研究者が今年度末、大量に雇い止めされる懸念が