国際社会の連帯を象徴するはずの国連が、分断を浮き彫りにさせている。憂慮すべき事態だ。 バイデン米大統領は総会の演説で「侵略を禁止する国連憲章の中核理念を恥ずかしげもなく侵害した」とウクライナに侵攻したロシアを批判した。英仏独など欧州の首脳も相次いで非難した。 これに対し、ロシアのラブロフ外相は安全保障理事会の会合で、米欧がウクライナに兵器を供与し「紛争を意図的にあおっている」と反論した。隣国のベラルーシなどがロシアを支持している。 懸念されるのは、ともに停戦への道筋を示していないことだ。長期化すれば状況はより悪化する。 分断は、米欧とロシアの「二極」だけではない。このはざまで多くの途上国が取り残され、「三極」に引き裂かれようとしている。 軍事侵攻と対露経済制裁が食糧難やエネルギー価格の高騰を招き、物価高が世界を直撃している。先進国はこれらへの対応を優先し、気候変動対策が停滞することが懸念さ