非道なテロがまた欧州で繰り返された。事件が起きたのは、英国の中枢とも言える首都ロンドンの国会議事堂の目の前だった。 少なくとも3人の命を奪い、約30人を負傷させた容疑者の男が使った「凶器」は、車とナイフだった。爆弾などと違って誰でも簡単に入手できる。こうした身近な道具がテロの手段になることに戦慄(せんりつ)する。 警察は「国際テロ組織に感化された」犯行とみて、イスラム過激派組織との関連を調べている。イスラム過激派組織はネット上で、車やナイフなど身近な道具を使ったテロをあおっており、その影響があったとすれば恐ろしいことだ。 違法な武器の入手や製造は摘発できるが、車の運転は阻止できない。「ローンウルフ(一匹オオカミ)」と呼ばれる単独犯は、組織的な犯行とは違って、取り締まりや予防がきわめて難しい。過激化した個人の犯罪をどう防ぐかは、重い課題として残る。 欧州では一昨年の11月にパリで、ちょうど1