トランプ米大統領が予告通り、12カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を表明した。今後は、相手を一本釣りする形で、2国間の貿易交渉を目指すようだ。 さて、日本はどうするか。 「米国を除く11カ国ででもTPPを実現させよう」「中国や韓国を加えてもいい」--。オーストラリアやチリ、ペルーなどから提案が相次いでいる。 ところが、同様の提案が日本政府からは聞こえてこない。「米国抜きでは意味がない」(安倍晋三首相や萩生田光一官房副長官)ということらしい。 確かに、米国が外れたら経済的意義は損なわれる。再構築が簡単でないのも理解できる。 とはいえ、米国抜きのTPPに意味がないとは決して思わない。むしろ、他国の犠牲のもとに米国第一主義をゴリ押しするトランプ氏の時代になるからこそ、前進させる必要がある。 ここで自由貿易推進のエンジンが弱まると、2国間の貿易戦争が起こりやすくなるだろう。