トランプ大統領の就任式の翌日、ロサンゼルスで日系3世の男性(70)に会った。 「長年かけて築き上げたものが一気に崩される。昔の排他的な社会に戻ってしまいそうだ」 第二次大戦中、米国内の日系人約12万人は強制収容所に送られた。男性の両親と祖父母も収容生活を強いられた。戦後も苦難は続いた。米政府が正式に謝罪したのは1988年のレーガン政権時、現存者への賠償金支払いが完了したのは99年だ。 民族や人種の違いによる相克を乗り越え、米国は多様性に満ちた自由で寛容な社会を築いてきた。それがトランプ大統領の登場で崩されると男性は言うのである。「イスラムやメキシコ人の不法移民に対する差別的なレッテルは、日系人にも貼られるようになるだろう」 外国からの移民がさまざまな分野で社会を支えているのが現在の米国だ。私は滞在中、タクシーや一般人が自分の車で行う「ウーバー(Uber)」という配車サービスを使ったが、運転