原発事故を起こした電力会社に、無制限で賠償責任を負わせる「無限責任」制が、維持されることになった。原子力損害賠償法の見直しを検討している内閣府原子力委員会の専門部会で、方針がまとまった。 妥当な結論だと言えるだろう。 電力業界は賠償責任に上限を持たせる「有限責任」制の導入を要望していた。しかし、専門部会は、事故を起こした電力会社を免責することは法制度上の課題が多く、国民の理解も得られないと判断した。 有限責任制にすると、電力会社の安全対策がおろそかになりかねないことも考慮されている。 ただし、無限責任制では、電力会社に損害賠償の原資をどう確保させるかが大きな課題だ。福島第1原発事故では、東電の負担能力を超える巨額の賠償費が発生し、同社は実質国有化された。 原発事故の被害者を確実に漏れなく救済することが、原賠法の最大の理念である。救済にあたって国が果たすべき責任を、法改正で明確に位置付けるべ