浅田彰は『構造と力』の中で脱二元論的な社会組織分析にふれ、アルチュセールの例を出した後で、こう言った。「そして言うまでもなく、フーコーの詳細を極めた権力装置分析―その具体的を疑う者はひとりもいない―が、すでにこの方向で巨大な一歩を踏み出しているのである」(123)。浅田の言っていることは半分以上、正しい。フーコーの権力装置分析は詳細を極めたもので、著名なジェレミー・ベンサムのバノプティコンに対する論を始めとして、具体性を伴いながら考察されたものである。しかし、この分析そのものの具体性を疑うかどうかは別として、彼の権力装置分析は80・90年代にサイードとスピヴァクという2人の有力な論者から鋭い批判を受けることとなった。ミシェル・フーコーは60年代以降、現代思想の中で最も重要な哲学者として扱われてきたけれども、現在、どのように読まれているのだろうか。そう思い、少しだけ調べてみた。 http:/