明石海峡大橋をのぞむ海沿いの狭小地に建つ二つの安藤建築のうち、コンクリート打ち放しの棟は、Casa Brutusの企画により実現した個人住宅。 1000坪の家にも劣らない4m角の御殿は、安藤氏自身も「快適や便利さを求めるのではなく、住みにくいのを覚悟の上で自然に向き合いながら生活して欲しい」というように暑さ・寒さに加え、階段を一日に何度も上り下りしなければならないという難しい住まい。 中庭を通らなければ居室を移動できない「住吉の長屋」を連想させるが、「このくらいの大きさの建物が一番面白い」と安藤氏も認めるとおり、氏の良さが凝縮された作品。 4階の海を取り込む大きな窓からは、自然の厳しさを耐えるに値するほどの景色が広がっているのだろう。 黒っぽく見える東側の棟は木造で、スキップフロア形式の3階建てとなっている。