後を絶たない電車内の痴漢。泣き寝入りする被害者も多く、「被害が確認されているのは氷山の一角では」と県警幹部はみる。一方で、冤罪(えんざい)も起きており、逮捕された容疑者が無実を主張し、不起訴になったり、裁判で無罪とされたりするケースが目立つ。疑いは晴れても、心に負った傷は深い。真の痴漢撲滅に向け、取り締まりや相談・通報体制のさらなる充実が求められている。 (柏原諒輪、吉田昂) ■犯人視される傾向 5月末、JR武蔵野線の電車で女性会社員(当時23歳)の下着内を約5分間触ったとして、東京都の男子大学生(19)が強制わいせつ容疑で大宮署に逮捕された。さいたま市の大学へ通う途中だった学生は、「携帯電話でゲームに熱中していたところ、女性に勘違いで左手をつかまれた」などと一貫して容疑を否認。20日間の勾留後に処分保留で釈放され、さいたま地検から7月末に不起訴(嫌疑不十分)とされた。同署などによると、学