冬の富士山で遭難が後を絶たない。毎年のように遭難者が出ており、今年1月には滑落事故で2人が死亡、1人が負傷した。独立峰のため、冬季は全方向から強風が吹くなど気象条件が厳しいことが理由で、登山歴約50年の古屋寿隆・山梨県山岳連盟会長(66)は「8合目より上は日本で一番難しい山」と強調する。 「スケートリンクを斜めにした状態」。遭難者の救助に当たる山梨県警などは、冬の富士山の登山道をこう表現する。氷が分厚く、ピッケルは刺さりづらい。県警の担当者は「一度転べば数百メートル滑落する可能性がある」と説明する。 数年前の年末、古屋会長は県警からの要請を受け、9合目から6合目に滑落した男性の救助に向かった。事故発生時は生存していたとみられるが、発見できず数カ月後に遺体で見つかった。同会長は「5合目付近でも氷点下20度くらいになり、けがをすると体力も落ちる」と述べ、生命の危険にさらされる恐れがあると指