―懸命に生きる姿に愛着がわくことはありますか。 「ない。割り切っている。ゴキブリは特に見た目のかわいげがない。そのため、私はあまり同情はしない。“あの形”だからこそ、同情する気持ちを抑え、飼育や殺す仕事をやりやすくしている。ただ、ゴキブリは積極的に、人に危害を加えているわけではない。そのため、意味もなくゴキブリを殺すことに抵抗感がある。命を意識する場面もある」 ―例えば、どんな場面でしょうか。 「子どもを対象とした殺虫剤の試用イベントで、ゴキブリを殺したときに、『なんて残酷なんだ』と子どもからアンケートがあった。子どもはまだ汚いイメージや害虫という知識がないため、ゴキブリはただの虫の一種と捉えている。改めて、命を不要に殺してはいけないと感じた。当社は毎年12月に虫の供養も実施している。中には何匹殺したか、覚えている人もいるくらいだ。教育面や開発面など命を最大限生かすようにしている」 ―具体