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ブックマーク / yoshitakaoka.hatenablog.com (3)

  • 6172本の物語 - 想像は終わらない

    その子の放った3ポイントシュートは、リングをかすることなく、ストンとネットに吸い込まれた。 2立て続け、しかも左右、両サイドからだ。 「あのね、ああいう奴はね、見えている世界が違うんだよ」 体育館すみっこ部の御意見番が腕を組み、相棒の角刈りメガネに講釈を垂れた。 見えている世界が違う? シュートを打った右手を空中に残し、ボールがネットを通過した瞬間にガッツポーズを作る。退屈な体育の授業で輝くサラサラヘアーが見ている世界は、一体どんな色をしているのだろう。 白、黒、灰色。 僕が見ている世界に、華やかな色はない。 同じように息をして、同じ人間として14年間生きてきても、僕らは圧倒的に違う。 まるで誰かに仕分けされたように、根から存在として異なっているのだ。 *** 夜中の2時に体育館に忍び込むようになったのは、眠れない日が続いたのと、色のついた世界を覗いてみたい衝動に駆られたからだ。 昼休

    6172本の物語 - 想像は終わらない
  • 赤が青に変わる瞬間 - 想像は終わらない

    おぃ、そーた。 そーたっ! おぃっ! こっち来てみろ。 いいからっ! とにかくこっち来いって。 また母ちゃんの事でからかわれたんか? そんじゃあ、麦茶、飲むか? キンキンに冷えたのがあるからよ。 おぃ、そーた。 分かってると思うが、おめぇは何にも悪くねぇんだぞ。 あいつらがどーだこーだ言っても、当は何にも分かっちゃいねぇんだからよ。 それに、おめぇの母ちゃんだって悪くねぇ。 心配すんな、この前の三月の時と同じで、またすぐ帰ってくっからよ。 なぁ、そーた。 どんな理由があってもよ、一対一でやらねぇ奴は、その時点で負けだぞ。 男としてじゃねぇ。 人間として、負けてんだ。 おめぇのこと、小突いて蹴飛ばしたあいつらは、おめぇを囲んだ時点で負けてんだよ。 当だぞ。 どんなにやられたって、おめぇの勝ちだ。 でも、痛ぇよな。 うん、痛ぇ。 例え勝ったって、ぶたれりゃ、悔しいもんだ。 あのよ、おじさん

    赤が青に変わる瞬間 - 想像は終わらない
  • きっと、あなたに会っていた - クルミ通りのメープル荘

    2017 - 01 - 08 きっと、あなたに会っていた 大切なもの 頭の中 似ていたとしても、同じものは二つとない。 自分は人の感性に、とても興味があります。 その人が生きている中で、何を感じ、何を思い、そして何を考えているのか知りたいのです。 他人の感受性は、いわば無限に広がるパラダイス銀河。 大丈夫です。気が触れたわけではありません。言葉足らずを補足します。 当たり前ですが、自分と他人は違います。 例えば、ロッテ「霧の方舟」と、ブルボン「アルフォート」「ルマンド」があなたの目の前にあるとします。 それを見て、あなたはどんな気持ちになるでしょうか? 自分はこのお菓子たちを目の前にすると、身の引き締まる思いがします。 「コンソメパンチ」や「うすしお」などのポテチ兄弟では味わえない背伸び感が心に迫るのです(どちらのチップスも大好物です)。 しかし、人によっては上記の「山の手御三家」を前にし

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