表題からわかるように、この小冊子(講談社新書)は、現代思想のキーワードに解説を加えたものであり、帯に「高校生もわかる『思想』入門」ともあるように、思想についてわかりやすく解説することを狙っている。 実際にわかりやすいかというと、仲正昌樹氏の他の書籍でもそうだが不用意な難解さはないという点ではわかりやすい。 が、おそらく高校生が読んですっきりわかるというものでもないだろう。むしろ高校生が読んでわかるのは、現代思想が何を課題にしているか、という問題意識だろう。そのことが結果として、ただの気分やファッションで現代思想を語る愚かさを除くというメリットはある。 本書はいくつかのキーワードを解説するという形式になっているから、何がキーワードなのかということが重要になる。具体的にはキーワードは次の21個に過ぎない。 正義 善 承認 労働 所有 共感 責任 自由意志 自己決定/自己責任 「心の問題」 ケア