今朝、トイレのドアが開かなかった。妻の姿が見当たらないので犯人と特定し、愛いやつ、つって待つ。だが待てども待てどもドアが開かないので、いよいよ不安になってくる。病や外傷で倒れているのかもしれない。 「大丈夫かい?」ドアを叩き、耳をそばだてた。サウンドオブサイレンス。こんなロングトイレはおかしい。妻にかぎってありえない。にわかには信じがたいかもしれないけれど妻はウンコをしない。結婚以来3年間ウンコしていない。もしかすると、それが事実なら僕はとても悲しい誤解をしていることになるのだけれど、妻には肛門がないのかもしれない。 僕は火急の事情により強引にドアを開けることにした。もし、このドアの先で倒れている妻に肛門がなかったら、そのとき僕はどんな顔をすればいいのだろう?わからない。クソ。僕の四十年の人生はまるで役立たずだ。 乗り越えなければならない火急の事情が僕にはあった。私事になるが、ここ数週間ほ