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ブックマーク / ensaigaisai.seesaa.net (9)

  • 国債金利について

    欧州危機や米国の格下げなど昨年はいろいろ大変な年でしたが、翻ってみれば国家の借金というものがようやく日人にも注目されてきたという点、すなわち納税者として税の問題や財政支出の問題などについてこれまでよりもまじめに考えるきっかけとなってくれたことは感謝せざるを得ないのだと思います。 いろいろなところで「いま増税しないと大変だ」という議論や反対に「増税したら成長しなくなってかえって赤字はふえるぞ」といった論戦がなされるのを見るにつけ、あるいみ健全な議論がようやく巻き起こってきたのだと思います。これまでは極端な楽観論(とりあえず問題は先送りしておけば何とかなる、とか)や極端な正義感(金融機関に公的資金を入れるのはけしからん、みたいな)ばかりで、国の行く末まで考えた議論が出来てなかったといえます。 ところで、ちょっとばかり気になるのは「国債の金利はいつまでこんな状態で(低い状態で)いられるのか?近

  • イタリア国債

    利回り上昇が止まりません。プライマリーバランスが一応黒字の国ですが、まあ首相が首相だっただけに信用が相対的に低いという悲しい現実があります。ちょっと前まではAAAの国ですが、ワタクシはもともとあの首相ゆえに4ノッチぐらい下の評価しかしていなかったので、それほど違和感はありません。まあ今は流動性の薄いマーケットですから、どちらにしてもねらいをつけられたらひとたまりもありませんな。 ところで、既に知られていることかもしれませんが、イタリアの場合、信用リスクそのものというより若干ポジション要因も大きいのではないかとの見方もあります。 たとえば、先日破綻したMFグローバルのポジションの多くがイタリアだったりしたようで、破たん処理となればそういうポジションの清算をこの地合でやるはめになり、スプレッドの拡大に拍車をかけそうです。それに加えて以前アイルランドのところで紹介したクリアリングハウスの担保ヘア

  • 生命保険会社が超長期債を買う理由(追記あり)

    ツイッター経由で以下のような記事を見つけました。筆者のかたの氏素性はわかりませんが、いまだにこういう理解なんですかね。 http://agora-web.jp/archives/1390664.html 「あなたの生命保険は大丈夫?~超長期国債依存が進む生命保険会社」 この記事では最近主要生命保険会社が超長期国債を大量に購入しており、資産全体に占める割合が急にふえている点を指摘し、金利が上がった時大きな損失がでる危険性を指摘しています。 ご心配はごもっともですが、やはり物事の一面だけを表層的にとらえていることが否めないですね。 やはりこの議論をする前提として、いま保険の世界で議論されている欧州のソルベンシーIIや今後導入される可能性のある経済価値ベースの規制、あるいはIFRSといった問題への理解は不可欠で、そういう点に全く触れていない(たぶん知らないのでは?と思いますが)この記事はかなりミ

  • 米国の格下げを考える

    先週は休暇をとっていたのだが、どうせデットシーリングの問題はぎりぎりのところで合意するだろうし、最終的にはドル安で債務を軽くしたいわけよね、うんうん、ということで、そのあたりは予想していたのだが、格下げは正直言ってこれはやらないと思っていたからちょっと意外だった。いまでも格付け会社が米国をトリプルAから引きずり落としたことの意味を考えあぐねている。 もちろん、米国の財政赤字の状況はひどいし、何よりも対外債務が多い。普通の国ならこの状況での格下げは当然かもしれない。しかし格付けの意味が「債務不履行の可能性の大小」という意味であれば、米国については格下げというのはやや違和感がある。 第一に、米国の債務が不履行になった場合、世界経済はどのような状況になるのか、というイマジネーションが十分に働いていないのではないか。米国の債務を国のバランスシートの中に大量に抱える国はどうなるのだろうか?決済手段と

  • 年末相場(続・リスク管理相場)

    今年は海外を含めると流動性の薄まる期間が特に長いと思われます。今年は12月25日(クリスマス)が土曜日に当たります。アメリカでは通常振替休日は先の日になるのですが、クリスマスだけは前倒し。なかなか粋ですね。ということで24日がクリスマス休日で慣例上前日23日の午後から実質的な休みです。27日はアメリカは開きますが、もうひとつの主要市場である英国がクリスマスの振替休日となり、さらに翌日はクリスマスの翌日に設定されるべきいわゆる「Boxing Day」(の振替)でお休み。Boxing Dayというのは、もちろんボクシングをするのではなく、(プレゼントの)箱を開けるとか使用人にプレゼントの箱を渡すとか、というのが起源となっているようです。いずれにしても英米の主要市場のどちらかが28日までクローズされております。 日も多くの方々が年末のご挨拶などで相場そっちのけで飛び回っていることでしょうし(外

  • 債券バブルの崩壊 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

    の国債金利が急騰している。10年満期の国債で言えば8月25日には0.9%を割れていたのが、昨日はほぼ1.2%となり短期間で0.3%も動いた。海外では最近それほど珍しい動きではないものの、日のマーケットとしては久々に見る激動である。これに輪をかけてひどいのが20年満期の国債。6月末からのラリー(金利低下)の分をほぼ1週間で吐き出した格好となる。 一般に言われるのは「小沢ショック」である。まさかと思っていた民主党代表選挙への小沢氏出馬。しかも当選する確率はかなり高く、その場合の財政拡大が懸念されることから一気に売られた、という理由付けがなされている。 しかしながら、われわれのような投資家からみれば、バブルが短期間に膨らみ崩壊しただけである。バブルとは何か?それは資産価格が理由のつけられない水準にまで上昇することだろう。その意味で特に20年債はおそらく1.8%を切った水準からバブルに突入し

  • 「ソブリン」の憂鬱

    ソブリンとは債券の世界では各国国債(あるいは政府が完全にコントロールしている関係機関を含む場合もある)のことです。 これまで、国債は一般事業債などに比べて安全だとされてきました。その最大の理由は国債の元利払いは国庫収入を原資に行われるのですが、国庫収入は国家が取る税金が主なものである以上、支払いに不足する事態になれば「増税」などによって対応が可能だというものです。また、中央銀行への政府の関与が強い国であれば紙幣を増刷して名目価値を支払うことも可能です(これやったら大変なことになりますが)。いずれにしても債務が「自国通貨建て」である限りにおいてその通貨の発行権限を独占しなおかつ税法を含む法律を定めることができる国家の決定機関がある以上、「自国通貨建ての国債」の支払い不能というのはほぼ回避できるという考えです。もちろん通貨増発などで対処する場合は為替の暴落(そして悪性インフレ)などを覚悟しなけ

  • 同族・ファミリー企業

    商工中金が出しておられる機関誌「商工金融」の2月号巻頭言で神戸大学大学院経営学研究科の加護野教授が「ファミリー企業の強さ」というタイトルで書いておられます。要するにこれまでイメージのよくなかった「ファミリー企業(同族企業)」の強みを再認識すべきだというものです。 文の焼き直しになってしまうのですが、日を代表する高収益企業(特に輸出企業)のうちトヨタはもとよりスズキなどが現実に同族で、米国でもビッグスリーのうちつぶれなかったフォードだけが同族支配が残っている、と書かれているのを見て、なるほど、と感じました。加護野教授は肩書きからもわかるとおり素人ではなく経営学の専門家ですが、最近の経営学の専門家の間で見直しの機運が出ているというのは興味深いことです。たまたまかんべえさんのブログでもトヨタの社長がトヨダさんであることの重要性を書いておられました。たぶん根っこにあるのは同じことだろうと思いま

  • GM,JAL、AIG化するギリシャ

    ある企業が従業員に優しい放漫経営を続け、(おまけに投資銀行たちとデリバティブを使った粉飾まがいのことをやって)、ある日それが明るみに出た。確かにシステム的に重要な主体ではあるが、すでに普通にはファイナンスは困難で、救済するには多額の公的資金が必要であり、ビジネス構造が脆弱なため今のやり方ではその資金の返済のめどは立たない。はたから見たら当然従業員が大幅な賃金や年金のカットと合理化、規模の縮小などを受け入れざるを得ないと見えるのだが、従業員は受け入れようとせずストや暴動などで対抗している。 さて、あなたがその企業の存在する国の納税者だったら、公的資金注入に賛成するでしょうか? いろいろな意見があるとは思いますが、ギリシャのケースは、粉飾は別にすれば、GMやJALのケースと酷似していることに気が付きます。ギリシャのケースではもちろんその存在する国とはユーロ圏であり、納税者とはそのユーロ圏の納税

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