『台湾歌謡史～台湾語歌謡の流れ～』台湾は小さい島の中に多くの人種と言語が存在することはご存知かと思われる。「本省人」と呼ばれる16世紀に中国の福建省から移民してきた漢民族がルーツとされる人々（これについては諸説があり、ほとんどが原住民の末裔だという意見も見られる。)、戦後に蒋介石率いる国民党政権とともに中国全土から台湾に逃れてきた「外省人」と呼ばれる人々、中国の「客家人」の移民、そして台湾の山地で古くから生活してきた「高砂族」と呼ばれる20あまりの原住民の人々が台湾に住んでいる。当然言語も複雑で、中国本土から入った国民党による教育の影響で現在はほとんどの国民が北京語とほぼ同系である華語を話すが、台湾人同士では元来の言葉である閩南語(一般的に台湾語と呼ばれ、以下台湾語と記す)という福建省の方言に近い言語でも話す。さらに客家語やそれぞれの原住民の言語も使われる。 このように多様な民族や言語の国である台湾において、流行歌がどのよ
