「ああ〜あ、あ〜ああ、ああ〜あ、あ〜ああ、ああああああ・・・」 そんなサビの、宇多田ヒカルのエンディング曲について、賛否両論あるようだけど、ぼくはこの悲恋物語をきちんと受け止めていてイイと思う。映画以上に、堕ちていく男と女の不条理劇を、歌詞にならない叫びのサビによって端的に表現していると。 あとはアトランダムに書く。三島の小説とは微妙にディテールを変えながらの映画前半で、もっとも気になったのは、その「風」の撮り方。さまざまな場面で、じつにゆったりとした風が吹いていて、桜が舞い、紅葉が揺れ、雪が降る。それがなんとも心地いい。妻夫木演じる、エキセントリックな美青年が抱えこむ尖った何かまで、やわらかく包み込むかのようだ。 あとは通常なら固定の引き画面でも、たえず、ゆっくりとカメラは移動していく。あるいは一人一人の画面では、やたらと毛穴が見えそうな接写をする。二人が並んだ画面では、あからさまにどっ