原作のSF小説『三体』は劉慈欣(リウ・ツーシン)が2006年に中国のSF雑誌『科幻世界』にて発表し、第一巻を2008年に刊行。日本でも2019年に早川書房より発売された。三部作の重厚な物語が特徴だ。文化大革命で父を惨殺された「葉文潔(イエ・ウェンジエ)」の絶望が帝国主義の異星人と結びつき、結果として訪れる地球の危機と抵抗、そして文字通りに天文学的なスケールの崩壊を複数の主人公の視点で緻密に描いていく。 劇中には文化大革命や古典物理学といった硬派なモチーフと共に、太陽が3つある世界で文明を築く完全没入型のVRゲーム「三体」といったキャッチーなガジェットも登場する。ハードコアSFの硬派な手つきと近年のサブカルチャーに通ずる外連味が共存した作風が特徴となる。 本作は20か国以上で翻訳され、日経ビジネスによると2019年時点で世界で2900万部を記録している。世界的なSFおよびファンタジーのアワー