→紀伊國屋書店で購入 「老いを受け止める」 長い学生時代を経て、わたしが就職をしたのは29才の時だったが、そのとき真っ先に思ったのは、「あと36年しか働けない! はやく家かマンション買って住宅ローン組まなきゃ!」ということだった。実際に住宅ローンを抱えるようになるのはそれから数年後のことだが、なぜわたしが「持ち家」にこだわったかというと、その昔、確かまだわたしが二十代の始め頃、あるドキュメンタリー番組をたまたま見たのがきっかけだった。 それは、老人の住宅確保に関する問題を扱った番組で、年老いた一人暮らしの女性が何軒もの不動産屋に賃貸契約を断わられている様子が画面に映し出されていた。孤独死や家賃滞納を懸念する不動産屋の対応と説明されていたと記憶しているが、わたしが感じたのは理不尽な対応をする不動産屋に対する怒りというよりも、こうした寄る辺ない人間に対して社会が見せる容赦無き態度への恐怖だった
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