中堅出版社の「幻冬舎」(東京都渋谷区)の元社員(3月23日付で懲戒解雇)が会社の金を着服していた問題で、同社は19日、着服額が2001年8月~09年3月の間に9億1230万円に上ることを明らかにした。 同社によると、元社員は経理部の管理職で、「個人的な遊興費などに使った」と説明している。着服が発覚しないように、同社の会計システムを操作して、取引先に同社の書籍を出荷したように装い、架空の売掛金を計上していたという。 出版業界では書籍の出荷と返品が頻繁で、売掛金を個別の取引ごとに管理するのは困難だといい、同社では長期間にわたり、架空の売掛金が混入していたことがわからなかったとしている。 同社は管理者責任として、見城徹社長を減俸30%(2か月)、久保田貴幸経営企画局長を減俸20%(同)の懲戒処分とした。元社員に対しては損害賠償を求めるとともに、刑事告訴も検討する。