吟味したレコードを客に聴かせる日本の「レコード喫茶」が、ロサンゼルスやニューヨークにも生まれつつある。なかには、渋谷の「名曲喫茶ライオン」に影響を受けた店もあるほどだ。米紙記者が、その体験談を語る。 リスニング・バーは、日本ではレコード喫茶として主に1950年代から存在してきた。喫茶店の一種で、東京の裏通りに点在する小規模のカフェのことである。高級なオーディオ機器を揃え、バーの後ろに備えつけられたコレクションのなかから、バーテンダーが吟味したレコードを客に聴かせる場所だ。 そして最近になり、アメリカでもニューヨークやロサンゼルス、そのほかの都市にリスニング・バー(またはハイファイ・バー)が生まれた。まだぎこちないながらも、鑑識眼、嗜み、こだわりといったレコード喫茶独特の文化が広がりつつある。 音楽は「おまけ」だった 多くのアメリカ人にとって、バーとは会話をする場所であり、レコードを座って聴