旧ソ連圏、バルト3国のひとつエストニアから、相撲取りになるためにやって来た20歳の若者がいる。身長197センチ、体重161キロ。力士仲間と比べても、まるでサイズが違う。土俵が小さく見えるほどだ。昨年の5月場所で初土俵を踏み、めきめきと力をつけて、今年の5月場所では、幕下東22枚目で6勝1敗の好成績を残した。7月の名古屋場所では、力士になった誰もが夢見る番付「十両」を目指して土俵に上がる。故郷に錦を飾るために今、猛げいこを積んでいる。 朝げいこが終わった東京都墨田区の三保ヶ関部屋に、青い瞳のエストニア人力士、把瑠都(ばると)=本名カイド・ホーヴェルソン=さんを訪ねた。純朴で人懐っこい笑顔で迎えてくれた把瑠都さんに、相撲との出合いや目標を聞いた。 ◆ ◆ ◆ ─相撲に興味を持ったきっかけは。 「高校生のころ習っていたエストニア人の柔道の先生が相撲も教えていた。年に1回の相撲キャンプに参