愛知県がんセンター研究所・発がん制御研究部の稲垣昌樹部長(細胞生物学)らの研究チームは11日、試験管での培養実験で、正常な細胞は生かし、がん細胞だけを死滅させることに成功したと発表した。 今後、がんの新たな治療法や新薬の開発につながることが期待できるとしている。研究成果は米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」に掲載された。 人間を含む哺乳類の細胞は、増殖を停止する際、表面に「一次線毛」と呼ばれる突起物を生じることが知られていた。研究チームは、一次線毛が形成されると、細胞内から、ある酵素が減少することに着目。培養実験の際、この酵素を人為的になくすと、正常細胞は突然、一次線毛を形成し、健康なまま増殖しない「休眠状態」となった。 一方、がん細胞は増殖が続くことを確認したが、増殖の際、うまく細胞分裂できずに死滅したという。