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ブックマーク / salon.mainichi-kotoba.jp (7)

  • 「女優・原節子」の表記は不適切か

    生誕120年、没後60年を迎える小津安二郎監督の代表作の一つが「晩春」。これについて以前、校閲の立場でコラムを書き、にもなったのですが、「女優・原節子」という表記は問題ないでしょうか。 2023年は小津安二郎監督生誕120年、没後60年に当たります。くしくも誕生日と死亡日が同じ12月12日です。 「東京物語」と並ぶ代表作「晩春」について、夏に出版した「校閲至極」のに以下の拙文を載せました。まずはお読みください。その後に、表記に迷った点を二つ挙げます。 『晩春』原節子の「おじさま」とは (初出は2020年12月13日発行「サンデー毎日」) 今年は女優・原節子生誕100年。主演作の小津安二郎監督『晩春』(1949年)の一場面を紹介する原稿がありました。映画の初めごろ、原節子演じる「曽宮紀子」と、彼女が「おじさま」と呼ぶ「小野寺」が会う場面。小野寺のことが「叔父」、つまり親の弟となっていて、

    pollyanna
    pollyanna 2023/12/17
  • 「新人選手、1軍帯同」って変?

    アンケートの回答から見られる解説では、「帯同」は「○○を連れていく」という他動詞的な使い方が来で、ほとんどの辞書がこの意味しか載せていない――と書きました。 しかし結果はご覧の通り、「連れて行く」と「ついて行く」がほぼ半々となりました。毎日新聞の記事データベースでも「登山に医師が帯同」「海外遠征に栄養士が帯同」のような、「ついて行く」と理解すべき自動詞的な表現が見つかります。 以前「校閲発 春夏秋冬」でも取り上げたような、他動詞が自動詞的にも用いられるようになる一例かもしれません。 「ついて行く」という意味で「帯同」を使っている場合は「同行」と書き換えることが多いのですが、広辞苑には逆に「部下を同行する」という他動詞的用例も載っており、少し驚きました(語釈としては「連れだって一緒に行くこと」と自動詞的なのですが)。 広辞苑第7版 他の辞書をいくつか引いてみると、学研国語大辞典が「ついて行

    「新人選手、1軍帯同」って変?
    pollyanna
    pollyanna 2023/10/01
  • 校閲記者の仕事を実演動画で

    校閲記者は普段どのように仕事をしているのでしょうか。「読む」と「調べる」という実際の作業をご覧いただける2の動画、「素読み編」(約7分半)と「事実確認編」(約11分)を作成しました。ぜひご覧ください。 題材としたのは、後日公開する予定の「校閲ミニ問題集」に収載された問題で、毎日新聞の1面コラム「余録」に誤りを埋め込んだものです。 素読み編(約7分30秒)

    校閲記者の仕事を実演動画で
    pollyanna
    pollyanna 2021/03/29
  • 「大辞林」第4版を引いてみた

    さて、辞書が改訂されるとどういう新語が入ったかが話題になります。出版社側もそれを宣伝の一環とします。事実、三省堂の特設サイトでは「インスタ映え」「インフルエンサー」など、いかにも今多用されている新語が多く紹介されています。ただ当方はそういう広報資料に頼らず、あくまでも個人的に気になっている語がいかに盛り込まれたか、3版との比較で調べてみました。「エモい」もサイトを見る前に「まさか載せてはいないだろうな」と思いながら引いた語です。 令和ならでは「上皇后」 さて、探し出せた新語です。 「令和」の辞書をうたうだけあって、令和ならではの言葉「上皇后」をしっかり載せています。 「上皇」自体は当然、これまでの版にはありましたが、「上皇后」はありませんでした。明確には書かれていませんが、「上皇后」という呼称がそれまでなかったことをうかがわせる記述です。 「上振れ」「下振れ」は「…する」 「上振れ」「下振

    「大辞林」第4版を引いてみた
  • 「ウラジミール」と「ウラジーミル」 ロシア人名の注意点

    図書館で借りた、19世紀ロシアを代表する文豪の一人、イワン・ツルゲーネフの「はつ恋」。ロシア文学「金の時代」の代表作です。 「はつ恋」(新潮文庫)裏表紙カバー 何気なく目に入った裏表紙の内容紹介には「16歳のウラジミールは……」とあり、チェコ系か何かの人の話だっただろうか、などとぼんやり考えたところで、はっとして中身をめくりました。 「はつ恋」(新潮文庫)文の表記は「ヴラジーミル」。裏表紙と合っていません。出版社のサイトを見てもの紹介文は裏表紙と同じ「ウラジミール」でした。 「ウ」と「ヴ」の違いは日語で表記しがたい音をどう文字にするかの問題で悩ましいところですが、文と裏表紙が合っていないのは気になります。しかしより気になるのが長音記号「ー」の位置です。 英語で綴ればVladimirで、表記に長音の要素があるわけではなく、「ウラジミル」と書かれることもありますが、ロシアではアク

    「ウラジミール」と「ウラジーミル」 ロシア人名の注意点
    pollyanna
    pollyanna 2019/08/26
    ドイツ語人名だと、「エリザベート」「エリーザベト」問題とか
  • どうやって校閲記者は調べているか

    「著者から後書きに名前を入れていいか聞かれることはありますが、誤植が後で見つかったらと思うと怖いですね」。引用部分を探す苦労、事実確認はどこまでするか…出版の分野で活躍する校正・校閲者の方々に聞きました。... 「これは会社の財産ですね。ぜひ公開してほしい」 「校閲者や司書は泣いて喜ぶと思いますよ」 毎日新聞の校閲センター内で共有しているインターネットサイトのリンク集のことです。私たちの仕事に合わせて作ってきたので一般にどこまで役に立つか分かりませんが、そのような声をいただいたため、どなたでもアクセスできる部分などを公開することにしました。 このリンク集の始まりは2009年ごろ。米国の雇用統計や消費者物価指数など、一から調べると手間がかかる経済関係の情報を早く調べるためでした。そこからスポーツなどデータが豊富に使われる記事などでもリンクがまとまってあれば便利だということで徐々に分野が広がり

    どうやって校閲記者は調べているか
    pollyanna
    pollyanna 2019/06/01
  • 「初老」は何歳

    回答は40代、50代、60代と少しずつ増え、70代は少数派という結果になりました。出題時の解説で紹介した三省堂国語辞典(7版)が「おもに六十代」としている通り、60代という回答が最多でしたが、40代と50代を合計すると半数以上を占めました。 NHK放送文化研究所が2010年にウェブ上で行った同様のアンケート(→こちら)では平均57歳という結果で、57%の方が60代(「60歳から」と「65歳から」の合計)と回答していました。対して40代は10%、50代は26%。これだけを見ればむしろ8年前よりも今回の結果の方が「初老」の年齢意識は下がっており、単純に上昇し続けるわけではないのかもしれません。 同辞典の「初老」の語釈では「老年に近づいてからだがおとろえかける時期」ともあります。健康寿命こそが大事だと叫ばれ、若々しさや健康を求める傾向が強くなった現代において、逆に自分の体の状態を厳しく判定し、以

    「初老」は何歳
    pollyanna
    pollyanna 2018/05/25
    交ぜ書きが好きじゃないので「子供」派
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