大阪市が住吉大社(大阪市住吉区)を相手取り、大社の末社・港住吉神社(同市港区)に無償で貸していた市有地の明け渡しを求め、大阪地裁の民事訴訟で争っている。約100年前の運河開発に伴う移転補償だったが、戦後施行された憲法は政教分離の原則を定め、宗教団体に対する公の財産の提供を禁じているからだ。いったんは大社が市有地を購入することで合意したが、売却額で折り合えず、訴訟にもつれこんだ。 訴状などによると、港住吉神社は海運の守り神として1842年(天保13年)、現在の大阪市港区にある天保山で開かれ、22年後に近くに移転。その境内が市の開発する天保山運河の予定地にかかり、1917年(大正6年)、南約500メートルの現在地に移った。市は当時、大社に移転補償費を支払い、市有地を無償で貸与。港住吉神社の境内約3600平方メートルのうち、市有地約2200平方メートルに社務所や祭具庫、手水舎(てみずしゃ)などが